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never cry

本とかゲームの感想だったり雑記だったり

きつねのはなし

きつねのはなし (新潮文庫)

きつねのはなし (新潮文庫)


森見登美彦の本は新刊が出るたびに買って読んでいたはずなのだけれど、これだけはなぜか読んでいませんでした。先月だかに文庫化したのでついに読んでみました。
京都の町で学生が騒ぐいつもの森見作品とは違って、かなり静かでほの暗い京都の短編集でした。薄気味悪くてちょっと怖い。全編に渡って芳蓮堂という骨董屋と、ケモノ、そして狐のお面が出てきます。特にケモノは薄気味悪い。3番目に収録されている「魔」という短編で特にケモノのことが書かれていて、ケモノが人間のように歯をむき出しにするところはなんともいえない気持ちの悪さ。そして「水神」で流れ出した水の中にいたものと「果実の中の龍」の水槽の中にいたもの。なんなんだろうあれは。
全体的に薄暗いイメージの作品が多いので、読んでいる間も暗い路地裏にいるような気分になりました。なんというか、すべて読み終えても釈然とせず、謎が多く残る本です。まさしく幻想文学という感じ。最後まで読んでももう一度最初から読み返したくなる。というか一度読んだだけではちゃんと理解できてない気がする。森見登美彦ってこんな本も書くんだなぁとちょっとびっくりしてしまいました。