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never cry

本とかゲームの感想だったり雑記だったり

花宵道中

花宵道中 (新潮文庫)

花宵道中 (新潮文庫)


Twitterでまろんさんが押していて気になっていたところに、ちょうど文庫版が発売されたので読んでみました。江戸末期の吉原で、山田屋という小見世を舞台に繰り広げられる女郎たちの話。連作短編……というか中編くらいの長さはあるかな、それが6編収録されています。
R-18文学賞受賞作なだけあって非常にえろいというか官能的なのですが、それ以上に切ないです。一番最初の、表題作「花宵道中」からえろ切なさが全力全開でうわぁという感じでした。遊郭の女郎である以上、自分が好きな人と結ばれることは難しく、結ばれたとしても女郎と客という関係になってしまうのがとてもとても切ない。相思相愛の関係を作ろうとすれば間夫を作ったとして罰せられる。読んでいて、「ああ、私この時代の女郎じゃなくてよかったなぁ」と思ってしまうくらいでした。
収録されているお話はすべて山田屋という見世の女郎の話なので、それぞれ少し時代は違っても、主人公になっている女郎たちはたいてい姉女郎妹女郎の関係や同郷などの関係があって、読んでいるうちにひとつひとつの話がつながっていく様子がわかり、とても面白かったです。「青花牡丹」でわかる霧里と、霧里の弟の東雲と、妹女郎の朝霧の関係は、「花宵道中」で描かれたある出来事の裏に隠されたことがわかるので、純粋にすごいと思ってしまいました。
性的な描写が結構濃厚なので嫌いな人もいそうだけれど、描かれる切なさは素晴らしかったです。とても楽しめました。