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never cry

本とかゲームの感想だったり雑記だったり

箪笥のなか

箪笥のなか (講談社文庫)

箪笥のなか (講談社文庫)


積読消化そしてちょうど4年ぶりの再読。長野まゆみの本は高校時代の友人の影響で何冊か読んだもののあまり好きになれなかったのですが、この本は好きでした。高校の図書館で借りて読んで、文庫化したら買おうと思っていて、買って積んでいました、な1冊です。
古い箪笥を引き取った主人公と、変なものが見えるその弟の、不思議で静かな日常が描かれている連作短編集。長野まゆみ作品特有の少年愛とか耽美さはありません。
この本に出てくる箪笥はとても魅力的です。「アンティーク」という言葉がありますがそんなカタカナ一語で片づけたくありません。樺いろで頑丈で金具や把手は黒鉄で、留め金具に蝶があしらわれ、ひとつの引き出しだけはコウモリ。このコウモリの金具のついた引き出しがなかなかのくせ者で、いろいろな不思議を導きます。そして箪笥とは別に不思議をつれてくる弟のマイペースさもいい味出してます。
なんというか、大きな事件やら出来事やらは起こらないけれど、ゆったり楽しめる本です。雰囲気がとても好き。