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never cry

本とかゲームの感想だったり雑記だったり

ヴァンパイア・サマータイム

 周りに面白いと言っている人が多くこのラノでも上位に入っていたので読んでみました。石川博品先生の本はネルリ以来。

人間と吸血鬼が昼と夜に分かれて平穏に暮らす世界で、主人公のヨリマサが実家のコンビニの手伝いで飲料の品出しをしている時に毎日やってくる吸血鬼の少女・冴原に出会い、お互いに惹かれていく話。

ちょっと変な世界観ではあるけれどもびっくりするほど普通のラブストーリーだった。石川博品=ネルリという強烈なイメージがあるのでこんなまともなというか普通すぎるラブストーリー書けるんだなあと思ってしまった。まあ随所随所に差し込まれる下ネタとかくだらないネタがこの作品を石川博品先生の作品たらしめているのだろうと思うけど。咬まれて吸血鬼になって陽の光を浴びて灰になりたいって、 吸血鬼というエッセンスが入ってそういう鮮やかな表現になってるけれど、世の愛する者同士はこのまま世界が終わればいいとかこのまま二人で消えてしまいたいとか思ったことあると思うよ。

先に読んで薦めてくれた友達がすごく文章がうまいと言っていたけれど、一般文芸というか純文学系統の文章で、ラノベの文体とは一味違うからそう思うのだと思う。でも確かに文章は上手くて読んでいて情景がかなり思い浮かぶ。

夫や薦めてくれたのとは別の友達が、「ゲーマーズの購入特典SSが特典SSにするには決定的すぎてずるい」みたいなことを言っていた気がするのだけれど、私は購入特典SSは蛇足だなぁと思った。というのは、そのSSは影宮の話なんだけど、この「ヴァンパイア・サマータイム」という作品はヨリマサと冴原の話であって、他の登場人物は必要だけどあんまり関係ないと思うのだよ。影宮のフラグは立ってたのかもしれないけど、それが折れる瞬間も明確に描かれているし。

ともあれとてもよい話でした。我が家には夫が買った1冊があって私はそれを借りて読んだのだけど、自分でもう1冊買ってもいいと思うくらい、素敵な話だった。